頚椎症
頚椎症、頚椎ヘルニアで処方される薬について
あなたは首や肩、腕に痛みが起きたので病院を受診すると、頚椎症または頚椎ヘルニアですねと言われ様々なお薬を処方されたのではないでしょうか。
頚椎症、頚椎ヘルニアで処方されるお薬は、鎮痛薬、神経性疼痛緩和薬、筋緊張緩和薬などが処方されますが、強い副作用のあるお薬や注意して服用しなければならないお薬もあります。
お薬には何らかの副作用が必ずあります。ですから、お薬を服用する前にはお薬のことを詳しく知ることが重要です。
今回は頚椎症、頚椎ヘルニアで処方されるお薬にはどのような効果があって、どのような副作用があるのか、服用する時の注意点などをお伝えします。
1. NSAIDs(ロキソニン、ボルタレンなど)(鎮痛薬)
NSAIDsとは抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用を有する薬剤の総称で、主な薬剤として、バファリン、ロキソニン、ボルタレンなどがあります。
NSAIDsのお薬は炎症性の痛みで、プロスタグランジン、セロトニン、ブラジキニンといった発痛物質が産生されているときに処方されます。
1-1.NSAIDsの効能
頚椎症、頚椎ヘルニアでは筋肉が緊張し酸欠状態になることで、痛みの原因であるブラジキニン、セロトニン、プロスタグランジンなどの発痛物質が血管内からが産生されます。
NSAIDsは発痛物質のうちプロスタグランジンの産生に必要なシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害する働きがあります。
シクロオキシゲナーゼが阻害されればプロスタグランジンを産生が抑制され、結果として痛みが抑えられることになります。
1-2.NSAIDs副作用について
NSAIDsには消化性潰瘍、穿孔、胃腸出血などの胃腸障害、腎障害などの副作用が起きる可能性があります。
NSAIDsは発痛物質のうちプロスタグランジンの産生に必要なシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害して、痛みを緩和する薬剤です。
このシクロオキシゲナーゼ(COX)にはCOX-1とCOX-2の2種類あります。
COX-1は胃粘膜の保護や腎機能維持などの働きがあり、身体に必要の酵素です。一方COX-2は炎症が起こった時に作られプロスタグランジンを産生させる酵素で、身体にはあまり必要ではありません。
NSAIDsにはCOX-2を選択的に阻害する、セレコックス、モービック、ハイペンなどがありますが、ロキソニン、ボルタレンなどはCOX-2と同時に胃粘膜の保護や腎機能維持に必要なCOX-1も阻害してしまいます。
このため、胃酸の分泌が増えたり、胃粘膜の血流が悪くなったりして胃粘膜が傷つけられ、胃炎、胃潰瘍、胃穿孔などの胃腸障害が起きることがあります。
また、腎機能維持に必要な腎血管を広げることができなくなるため、腎障害の副作用が引き起こされることもあります。
その他にも低血圧、アスピリン喘息、肝障害、心血管障害など様々な副作用が起きる可能性があるため、長期間の服用はあまり推奨されません。
2.胃腸薬
NSAIDの服用で多く起こりうる副作用にNSAIDs潰瘍、消化管出血、胃穿孔などの胃腸障害があります。
胃腸障害はNSAID服用によって、胃酸の分泌増加や胃粘膜の血流が悪くなるために引き起こされます。
ですから胃腸障害を起こりにくくするために胃酸分泌を抑える働きのある、ヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)やプロトンポンプ阻害薬(PPI)などの胃腸薬が処方されます。
胃腸薬は頚椎症、頚椎ヘルニアとは関係がなく、副作用を起こりにくくするためのお薬です。
2-1.一般的な薬剤名
●ヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)
ガスター、ザンタック、タガメット、アルタット、アシノン、プロテカジン
●プロトポンプ阻害薬
オメプラメール、タケプロン、バリエット、ネキシウム
3.リリカ(神経性疼痛緩和薬)
リリカは神経障害性疼痛の改善に効果があるとされるお薬です。
頚椎症、頚椎ヘルニアの痛みには筋緊張による炎症性の痛みと神経障害性疼痛が混在しています。
神経障害性疼痛とは、帯状疱疹の後に起きることがある「帯状疱疹後神経痛」や「糖尿病性神経障害」「三叉神経痛」などピリピリ、ズキズキ、ジンジンといった神経が原因で起きる痛みのことを言います。
頚椎症、頚椎ヘルニアでも神経が傷つき、痛みが起きていると考えられています。
3-1.リリカの作用機序
神経障害性疼痛は神経が傷ついて興奮が高まり、神経伝達物質が過剰に放出されることによって起きると考えられています。
神経伝達物質というのは、神経から神経へと電気信号が伝わる時に放出される物質です。
神経伝達物質は、神経細胞にカルシウムが流入されることによって放出されます。
リリカはカルシウムが神経に入る時に通るカルシウムチャネルを阻害し、カルシウムの流入を抑制します。
カルシウムの流入が抑制されると神経の興奮が弱まり神経伝達物質の放出も少なくなって、神経障害性疼痛の痛みも和らぐと考えられています。
3-2.リリカの副作用について
リリカの主な副作用は、眠気やふらつきなどがあります。
リリカの主成分のプレがバリンは脳の興奮を抑える働きがある抗不安薬の作用があります。
脳の働きが正常な方が抗不安薬を服用すると、脳の働きが抑制され眠気、ふらつきなどの症状が起きることがあります。
ですから、リリカを服用すると眠気やふらつきなどの副作用が起きることが多いのです。
また、リリカの成分は主に腎臓から排出されるため、腎機能が低下した方が服用すると腎障害が悪化する恐れがあり注意が必要です。
その他の副作用として、頭痛、不眠、便秘、浮腫などがあります。
リリカはとても強いお薬です。服用していて何か異常が起きたら、速やかに担当の医師に相談するようにしてください。
4.メチコバール(ビタミン製剤)
頚椎症、頚椎ヘルニアでしびれがある時によく処方されるお薬が、ビタミン12を主成分とした「メチコバール」というお薬です。
メチコバールは末梢神経障害の痛みやシビレに効果があると言われています。
神経の働きに欠かせないのがビタミン12です。ですから、ビタミン12をメチコバールで補って傷ついた神経の修復をはかり、痛みやシビレを改善する目的で処方されます。
4-1.メチコバール服用の目的
メチコバールはあくまでビタミン12を補給するための薬剤です。
ビタミン12が欠乏すると貧血や末梢神経障害が起きて痛みやしびれが現れます。
このような時にビタミン12を補って末梢神経の修復を助け、末梢神経障害を改善させる目的でメチコバールが処方されます。
神経の修復はとても時間がかかります。ですから、メチコバールを服用したからといって強力な作用が現れるわけではなく、症状改善に長期間かかったり、改善が見られなかったりすることもあります。
4-2.メチコバールの副作用について
メチコバールは副作用がほとんどありません。
時に、胃不快感、食欲不振、悪心、嘔吐などの消化器症状などが起きることがあります。
5.ミオナール(筋緊張緩和薬)
ミオナールは中枢神経系と筋肉の血流をよくすることで筋肉の緊張を緩和する薬です。
頚肩腕症候群、肩関節周囲炎、腰痛、緊張型頭痛など、筋肉が緊張しているときによく処方されます。
頚椎症、頚椎ヘルニアでは首、肩の筋肉が緊張し痛みが起きているため、筋緊張を緩和する目的でミオナールが処方されます。
5-1.ミオナール副作用について
ミオナールの副作用は発疹、眠気、不眠、頭痛、悪心・嘔吐、腹痛、下痢、便秘、口の渇き、食欲不振、全身倦怠感、ほてりなどがありますが、このような副作用が現れる頻度が少ない薬剤です。
副作用が現れる頻度が少ない薬剤は、薬剤効果もマイルドで効き目が薄くなります。
6.デパス(抗不安薬)
頚椎症、頚椎ヘルニアでデパスが処方されることがあります。
デパスは不安や緊張を和らげる作用やうつ状態の改善に効果のある「抗不安薬」です。
また、平成28年9月14日より向精神薬に指定され個人輸入が禁止され、病院の処方にも14日~30日までという期間が設けられました。
デパスはその他にも強い筋弛緩作用、催眠作用、抗けいれん作用の効果があります。
頚椎症、頚椎ヘルニアでは筋緊張を和らげる目的で処方されています。
6-1.デパス副作用について
デパスは耐性と依存性があるお薬なので服用は慎重にならなければなりません。
耐性でお薬の効果が慣れてしまうと、どんどん服用する量が増えていき薬の依存性が増し、デパスから離れられなくなってしまいます。
デパスは睡眠効果があるため眠気、倦怠感などの副作用があります。
また、強い筋弛緩作用があるため肩の筋肉ばかりではなく、腰や脚の筋肉なども緩みふらつきや転倒の危険性があるので、特に高齢者の服用は気をつけなければなりません。
6-2.デパス服用の注意点
デパスは向精神薬、抗不安薬なので、精神に不安のある方に精神科の医師が処方するべきお薬です。
しかし、頚椎症、頚椎ヘルニアの方はおそらく整形外科から処方されていると思います。
整形外科の医師は筋緊張緩和作用を主目的で処方するため、抗不安作用ことはあまり考慮しておらず処方量も多い傾向にあります。
頚椎症、頚椎ヘルニアで悩まれている方は、必ずしも精神に不安を持っておられるとは限りません。
精神的に健常の方がデパスを飲み続けると、副作用が強く出る可能性があるため注意が必要です。
7.まとめ
頚椎症、頚椎ヘルニアの時に処方される一般的なお薬の効能、副作用、服用する際の注意点についてお伝えしました。
お薬には何らかの副作用があるので、処方された用量、服用回数を守るようにしましょう。
もし、副作用かなと感じられたときは、速やかにかかりつけの医師に相談するようにしてください。
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