首と肩は約30種類以上の筋肉で複雑に構成されています。その筋肉に緊張や炎症が起きると首こり、肩こり、寝違え、手のシビレなどの原因になります。
ここでは、首、肩にはどのような筋肉があるのかをご紹介して、その筋肉にまつわる症状をお伝えします。
頚椎の筋肉
頚椎の筋肉は約30種類以上の細い筋肉が複雑に重なり合って出来ていて、2つの重要な働きがあります。
その重要な働きとは、運動性と支持性の働きです。
筋肉の働き
運動性の働き
1つめの働きは、首を動かすための運動性の働きです。首を縦、横、斜め、回旋という複雑な動きに対応するために、細い筋肉が幾重にも重なり出来ています。
支持性の働き
2つめの働きは、頭や肩甲帯(肩甲骨、腕)を支える支持性の働きです。頭の重もさは約5~6㎏あり、上肢も片方で約5~6㎏あります。その重さを頚部と肩の筋肉で支えています。
首、肩の筋肉の種類
ここでは、首こり、肩こり、手のシビレに関係する頚部と肩の主な筋肉をご紹介したいと思います。
大後頭直筋、小後頭直筋、上頭斜筋
大後頭直筋と小後頭直筋、上頭斜筋は後頭骨と頚椎をつないでいる一番深層にある筋肉で、後頭下筋群の部類に入ります。
この筋肉は首を後屈させたり回旋させたりする働きがあります。
また、頭を安定させ、いろいろな姿勢をした時に、目線を水平に保つ様に調節する働きがあります。
パソコン作業などをしていて後頭骨と首の境の部分に強いコリを感じて頭痛が起きた時は、この後頭下筋群が緊張し頭に行く血管を圧迫して血流が悪くしている可能性があります。
頭板状筋、頭半棘筋
この頭板状筋、頭半棘筋は大後頭直筋と小後頭直筋の上に重なっている筋肉です。
頭板状筋は後頭下にある筋肉の中で最も外側にある筋肉であり、その内下層にあるのが頭半棘筋です。
この筋肉は、頭を後屈させたり、左右に回旋させたりする働きと首を前方にいかないよう支える働きもあります。
首こりや寝違え、後頭神経痛に関係してくる筋肉です。
斜角筋
斜角筋は、中、前、後斜角筋があり頚椎と第1肋骨を結ぶ筋肉です。
この筋肉は、首を前に曲げたり、呼吸する時(吸気時)に肋骨を引き上げる働きがあります。
この前斜角筋と中斜角筋と第1肋骨でできた三角の隙間(斜角筋隙)を、頚椎から出る腕神経叢と鎖骨下動脈が通ります。
この三角の隙間が何らかの原因で狭くなり、腕神経叢と鎖骨下動脈が圧迫されると腕にシビレ症状が発症されることがあります。
これを胸郭出口症候群の斜角筋症候群といいます。
胸鎖乳突筋
胸鎖乳突筋は鎖骨から耳の後ろを結んでいる筋肉です。
この筋肉は首を後屈させたり、横に傾けたり、回旋させたりする働きがあります。
首の横前方がコリや痛みを感じた時は、この胸鎖乳突筋が関係していると思われます。
肩甲挙筋
肩甲挙筋は頚椎と肩甲骨を結ぶ筋肉です。
この筋肉は、肩甲骨を引き上げたり、首を傾けたりする働きがあります。
肩甲挙筋は肩甲骨、上肢を支えているため負担が大きく、首こり、肩こり、寝違えの時に関係してくる筋肉です。
大・小菱形筋
大小菱形筋は頚椎、胸椎から肩甲骨の内側を結ぶ筋肉です。
この筋肉は、肩甲骨を内側に引いたり、肩甲骨を安定させたりする働きがあります。
大・小菱形筋も肩甲骨、上肢を支えているため負担が大きく、肩甲骨の内側が痛くなったり、コリを感じる時に関係してくる筋肉です。
僧帽筋
僧帽筋は頚椎、肩甲骨、胸椎を覆うようについている菱形状の筋肉です。
この僧帽筋の名前は、筋肉の形がカトリックの僧の頭巾に似ていることから由来しています。
僧帽筋全体の働きは、肩甲骨を安定させることと、三角筋の作用である腕を動かす動作を助ける働きがあります。
僧帽筋は上部線維、中部線維、下部線維に分かれており、それぞれの線維によって働きが違います。
上部線維は肩甲骨を引き上げ、肩をすくめる働きがあり、中部線維は肩甲骨を内側に引き寄せる働き、下部線維は肩甲骨を下内方引き下げる働きがあります。
また、上肢を固定している場合、首を後ろの傾けたり、横に傾けたりする働きもあります。
首、肩、肩甲骨の内側などに痛みやコリがある場合、この筋肉が関係していることが多くあります。
首の神経
頚椎の神経はC1~C4(C=頚椎の略)から出る頚神経叢とC5~T1(T=胸椎の略)から出る腕神経叢がります。
頚神経叢は、顔面、頭、首に繋がり筋肉や感覚を支配しています。一方、腕神経叢は鎖骨、上腕、前腕、手に繋がり筋肉や感覚を支配しています。
頚椎の神経で腕の痛みやシビレに関係してくるのが腕神経叢です。
腕神経叢は頚椎から出て、複雑な結合と分岐をして前斜角筋、中斜角筋、第1肋骨で囲まれれた(斜角筋隙)、肋骨と鎖骨の間(肋鎖間隙)を通って、腕の後方と前方に分かれ腕と指に繋がれます。
その途中、斜角筋隙と肋鎖間隙が骨の構造、筋肉の緊張、物質的の持続的な圧迫(リュックサックを背負うなど)、姿勢などで狭小化すると、神経、血管が圧迫されシビレや筋肉麻痺の原因になります。
まとめ
首こり、肩こり、手のシビレに関係する頚椎と肩の筋肉と神経の解剖をお伝えしましたがいかがでしたか?
首こり、肩こり、手のシビレの原因には必ず人間が作られている筋肉の走行や働きが関係しています。
このことを理解して治療やストレッチ、体操を行わないと、効果が出ないことが多くあります。
ですから、ストレッチや体操を行う時は、自分の身体の筋肉の走行を頭に思い描いて行うように心がけてくださいね。
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