脊柱は人間の中心を走り、私たちの身体を支える大きな役割があります。
その脊柱の、働き、形状、靱帯、椎間円板についてお伝えします。
脊柱の働きと形状について
脊柱の働き
「脊柱」はみなさんもご存じのように、私たちの身体の中心を走っている首から骨盤までの骨の支柱です。
この、脊柱にはどんな働きがあるのかご存じですか?
脊柱には主に3つの働きがあります。
- 支持性の働き
支持性とは身体を支える働きです。
人間が真っ直ぐに立っていられるのも脊柱がしっかりとしていて働いてくれているからです。
- 運動性の働き
運動性は私たちの身体が、前、後ろ、回旋といろいろな動きが出来る働きです。
この動きは脊柱が棒のような一本の骨で出来ているわけではなく、一つ一つの骨のブロックで出来ていて少しずつ動くことができるために可能となります。
- 保護の働き
保護とは、神経や血管を保護する働きです。
脊柱の脊柱管というところには、神経の幹となる脊髄が通っています。そして、頚椎の横突孔には身体から頭に血液を送る椎骨動脈が走っています。これらの神経と血管をしっかりと保護をしてくれています。
脊柱の形状について
脊柱は首から骨盤まで、通常33個のブロック状の骨で形成されています。
そして、脊柱は首の部分(頚椎)、胸の部分(胸椎)、腰の部分(腰椎)、骨盤の部分(仙椎、尾椎)の5つの部位に分かれています。それぞれ、頚椎7個、胸椎12個、腰椎5個、仙椎5個、尾椎4個(成人では通常、仙椎と尾椎は癒合しています。)となっています。
脊柱の生理的彎曲
脊柱は頚椎から尾骨まで33個の骨のブロックが積み重なり、横から見ると次のように彎曲しています。
頚椎は前彎(前方に凸)、胸椎は後彎(後方に凸)、腰椎は前彎、仙椎、尾椎は後彎となっています。これを「生理的彎曲」と言います。
この生理的彎曲は、赤ちゃんから成長する過程で形成されていきます。
生後、赤ちゃんの脊柱は首から骨盤まで後彎しています。
それが、幼児期になり首をもたげ周囲を見回すようになると、首の後ろの筋肉が発達し、首を持ち上げるようにして頚椎前彎が作り上がっていきます。
そして、頭のバランスを保つことが出来るようになります。
また、座ったり、立ちあがったり、歩いたりするための準備として、股関節屈筋群の筋肉が腰椎を前に引っ張り腰椎前彎が作り上がっていきます。
この腰椎前彎は、足が完全に真っ直ぐ立てるようになるまで続き、思春期くらいに出来上がります。
この脊柱の生理的彎曲は、私たちが2足で直立している時にバランスを整え、上下方向にかかる力を分散させる役割もあります。
頚椎の特徴
次に、頚椎の特徴についてお話ししたいと思います。
脊椎の頚椎の形は先にお話ししたとおり軽い前彎の形になっています。
この形が6~7㎏ある頭を支えるのためのクッションの役割を果たしています。
そして、頚椎には胸椎、腰椎にはない特徴があります。
それは、C1,C2(C=頚椎の略)の形状と鈎状突起です。
けいついのC1は頚椎の一番上の部分で輪状になっていて環椎、C2は軸椎といい軸状の突起がついています。これを歯突起といいます。
C1とC2が重なると歯突起がC1の中に入り、それが軸となって首を回旋させます。
この首の回旋はすべての回旋の約55%をになっており、残りの首の回旋は上体の捻りにに依存しています。
鈎状突起とは椎体の上外側にある部分です。
頚椎の骨のブロックが重なり、上の部分の椎体と下の鈎状突起の部分が重なったところを「鈎椎関節(ルシュカ関節)」といいます。
この鈎椎関節(ルシュカ関節)は頚椎の柔軟性を高めるための仕組みと考えられている一方で、頚椎症性神経根症に大きく関わってくる重要な部分の1つです。
脊柱をつなげている靱帯について
脊柱は、33個の骨のブロックが繋がって出来ていますが、そのつなげているものが靱帯です。
この脊柱の靱帯は骨を繋げているだけではなく、脊柱を安定させ生理的彎曲を維持し、脊柱の運動を制限する働きもあります。また、間接的に脊髄の保護も担っています。
次に脊柱の靱帯について説明します。
脊柱の主な5つの靱帯
脊柱のブロックの骨を繋げ、保護する靱帯は主に5つの靱帯があります。
- 黄色靱帯
黄色靱帯は脊髄のすぐ後ろ側にある靱帯です。
黄色靱帯は弾性成分を多く含んでいるため、少し黄色い色をしています。
黄色靱帯の働きは、上下方向の脊柱の安定を保つ背部の筋肉の補助をしています。
また、身体が前屈(お辞儀をする動作)をする時に過度に曲がらないよう、防ぐ役割もあります。
ですから、私たちが出来る動きを超えて、無理に前屈しようとすると黄色靱帯が断裂する恐れがあります。
そして、過度の過伸展(後ろにそらす動き)は、脊髄のすぐ後ろ側にある黄色靱帯が前に飛び出す形になり、脊髄を傷つける可能性があるので気をつけなければなりません。
うがいや飲み物を飲む時など、首を後ろに曲げて痛みがある時は、あまり上を向く動作をしないようにすることが大切です。
- 前縦靱帯
前縦靱帯は脊柱の前を頚椎から仙椎まで広く覆うように走っています。
前縦靱帯の働きは、頚部と腰部の伸展(後ろにそらす動き)の制限と頚椎と腰椎の過度の前彎を防ぐ働きがあります。
- 後縦靱帯
後縦靱帯は脊髄のすぐ前を頚椎から仙椎まで走っている靱帯です。
後縦靱帯は前縦靱帯と同様に脊柱を安定させる働きがあります。
後縦靱帯は前縦靱帯よりも薄く出来ていて、椎間板(骨と骨の間にあるクッションの役割を担う組織)部分では、真後ろの一部分しか覆われていません。
靱帯で覆われていない、椎間板後面の外側は靱帯で補強されていない部分になり、とても脆弱な作りになっています。
ですから、頚椎ヘルニアや腰椎ヘルニアになった場合、外側ヘルニアが起こりやすくなっています。
- 棘上靱帯と棘間靱帯
棘上靱帯と棘間靱帯は棘突起(脊柱の後ろの部分)についている靱帯です。
棘上靱帯と棘間靱帯は、腰椎の過度の屈曲を防ぐ働きがあります。
また、頚椎部分では頭を前に屈曲しないように支える補助的な役割も担っています。
このように、各種靱帯はブロック状の骨と椎間板を繋げ、脊柱の安定性を保ちと過度の動きを制御する働きがあります。
椎間円板
椎間円板とは脊柱の骨と骨の間にあるクッションの役割をしている組織です。
椎間円板の外周は線維輪といい、線維組織で作られています。そして、中心にあるのが髄核といいゼラチン状の組織で出来ています。
線維輪は線維組織が互いに交差していて強い張力があり、様々な角度でもクッション性を損なわないような構造になっています。
椎間円板は上下の隣接する椎体(骨)との境目にある微小な血管から水分と栄養を受け取っています。
椎間円板は軸(縦)方向の圧力が加わると、水分が流失し扁平になる性質があります。この流出した水分は、横になって軸方向の圧力が軽減されると、上下の血管から水分が補給される仕組みになっています。
年齢を重ねていくと栄養と水分を補給する血管が退化するため、十分な栄養と水分を受け取れなくなるため、椎間板は少しずつ扁平化していきヘルニアや頚椎症、脊柱管狭窄症の原因になります。
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